第35回シールラベルコンテスト 経済産業省大臣は株式会社タカラの作品が受賞
第35回シールラベルコンテストは令和7年6月5日(募集開始)〜7月15日(応募締切)で行われ60社103作品の応募があった。
応募状況は別紙参照。
全国の各協組から選出の技術委員による第1次審査会(基礎技術を審査)は、7月25日に東京シール印刷会館3F会議室にて行われ、その後の8月1日には「上野精養軒」にて、日印産連・協賛会各役員による第2次審査会(主にデザイン面を中心に審査)を行い、経済産業省商務・サービスグループ文化創造産業課の中村課長補佐、木村係長もオブザーバーとしてこられ上位賞が内定した。
第1次審査会で審査された作品のうち、点数が高い上位21作品(自由課題)を第2次審査会に持ち込みそこで加点された作品のうち、最も高得点を獲得した作品に「経済産業大臣賞」、第2・3位の作品には「経済産業省大臣官房商務・サービス審議官賞」が授与される。以下、第4位に「日本印刷産業連合会賞」第5位に「全日本シール印刷協賛会会長賞」が授与される。
また、規定課題で平圧若しくは輪転の第1位作品のうちから高得点を「日本印刷産業連合会会長賞」、次点の作品を「全日本シール印刷協賛会会長賞」に選出される。
「全日本シール印刷協同組合連合会会長賞」は各部門の上位作品を選出。
「技術・特許委員会賞」総合順位で上記賞に準じた作品を選出、「優秀賞」は自由課題、規定課題で一定の基準を満たした作品数点を選出した。
表彰式並びに結果発表は、令和7年10月24日開催予定の第67回年次大会・大阪大会で行われた。
この結果、経済産業大臣賞には株式会社タカラ(正札協組)の作品が選ばれ、12年ぶり2回目の受賞となった。
第35回シールラベルコンテスト応募状況(確定版)
| 応募社数 | 60社(59社) | 作品数 | 103作品(112作品) |
|---|---|---|---|
| 自由課題 | 35作品(43作品) | 規定課題 | 68作品(69作品) 平圧23作品(25作品) 輪転45作品(44作品) |
| 北海道 | 1社4作品 | 東海北陸 | 7社10作品 |
| 東北 | 5社10作品 | 京都 | 6社8作品 |
| 正札 | 15社24作品 | 大阪 | 13社21作品 |
| ラベル | 3社6作品 | 九州 | 8社17作品 |
| 神奈川 | 2社3作品 |
( )は昨年値
北海道協組:款モクニ、
東北協組:棺トー、精英堂印刷梶A進和ラベル印刷梶A概O-UP、干イワコーポレーション
正札協組:棺トー、澗カラ、サトーインプレス梶A澗カヨシ、大輪印刷梶A
且R梨シール印刷、肝ォーワテックジャパン、含ールドプリンター、山王テクノアーツ梶A脅ーワシーリング、兜s二レーベル、狂ムシーリング、活ョ川田中シール印刷、感コー
ラベル協組:棺ンメック、鞄本ラベル、興ン技研、
神奈川協組:旧[佑社、ARC渇。浜、
東海北陸協組:且O共シール、古川印刷梶A永瀬印刷梶A棺トー、椛蜊K、
椛蝸m堂、葛熨シール
京都協組:椛蜥ホシール印刷、葛椏sシールレーベル、鞄圏mレーベル、坂本シール、恭オキシール印刷
大阪協組:カンサイタカラ印刷梶Aアサヒラベル梶A滑ロ紀印刷、棺トー、谷口シール印刷梶A
幹ンパムシール、間カグループ、肝゚ライム・ハラ、 美有起、汗イホウ、
カミイソ産商梶Aミラクル工業梶Aウメモト
九州協組:滑ロ信、兜珠印刷、葛繽Bクラフト工業、萬誠社印刷梶A滑ロ紀印刷九州、棺トー、萬誠社印刷且ュ児島、潟Tニー・シーリング
(順不同)
第35回シールラベルコンテスト講評
規定課題(平圧)講評
本年度の平圧の規定課題はアート紙に青金・黄・紫の特色3色のデザインでした。
どの色も見当精度がシビアなデザインでとなっていました。
青金と紫の毛抜き合わせのデザイン部分は、見当精度だけでなく、インキの柔らかさや印圧、版離れなどシビアに調整しないと再現出来ないデザインでしたが、本当にみなさん上手に印刷されていたと思います。
今回の規定課題のデザインは、難しすぎたかもしれないと心配していましたが、杞憂となりました。
全体的に差があったのは、微妙な色調と、毛抜き合わせの境目のシャープさでしょうか?
その中でも、最優秀の得点を獲得された作品は、ベタののり、色調、毛抜き合わせのシャープさ、見当、どれをとってもよく出来ており、とても素晴らしい作品でした。
規定課題(輪転)講評
本年度の輪転の規定課題は、艶銀ホイルに、白+CMYプロセス3色の合計4色のデザインでした。
こちらは、白印刷の上にCMYのプロセスを印刷するデザインであったため、各色の濃度やインキののり具合を丁寧に合わせる必要がありました。
白の濃度やインキののり次第で、プロセス3色の部分の色味が違って見えるため、微妙な色味の違いが出てしまっている作品も見受けられました。
こちらの作品も見当精度がシビアで、白、CMYいずれの色もほんの少しでもずれると目立ちやすいデザインであったため、みなさん見当合わせには苦労されたのではないでしょうか?
輪転系印刷機では、基本的に各色UV装置で照射されるため、熱の影響を受けやすくなっています。その影響も考慮したうえで印刷している作品もいくつか見受けられました。
最優秀の作品は、見当精度、色調、インキののり、グラデーションや網点の再現性など、どれをとっても見本に忠実に印刷されており、素晴らしい作品でした。
自由課題講評
昨年と比較して、作品数が4つ減ってしまったのは少し寂しいですが、本年も素晴らしい作品が集まったと感じています。
ここ数年、出品が偏っていると感じていた、特殊なニスやエンボス、箔押しなどが施された複合印刷部門の酒ラベルが、極端に多いとは感じませんでした。全体的に様々な分野での出品になっていたと思います。
少し気になったのは、複合ではないオフセット印刷が、例年と比べると少し少なかったように思います。
デジタル印刷機部門やその他印刷(実質的にはフレキソ印刷ばかりでした)部門の出品が増えているのは、世界ラベルコンテストの傾向から考えてもいいことだと思います。
ここ数年出品が少なかった平圧印刷部門の出品が3作品ありました。
規定課題の技量の高さからすると、もっとこの分野が盛り上がってくると面白いと思うので、さらなる出品数の増加を期待しています。
アイデア開発部門の作品は、どれも興味深い作品ばかりでした。
なんと10回通しや7回通しという、自分では決して印刷したくないと思ってしまうような作品もありましたが、いずれも様々な工夫が凝らされており、シール・ラベル印刷の可能性を知らしめるものであったと思います。今後もどのような作品が出品されるのか?非常に楽しみにしています。
経済産業大臣賞 作品602 Eその他部門
お茶のパウチ用ラベル。
1工程で印刷されており、UV接着→コールド箔→白×2+プロセス4色+疑似金+UV接着→PET単体貼り合わせと7色印刷+UV接着2回印刷→畳模様風の腐食刃カーフカットで作業されたラベルです。
これだけ複雑な工程を1パスで作業できることに驚きますが、その印刷機が持っている性能や機能を見事に活かし、様々な資材を有効に活用した素晴らしい作品であると思います。
印刷部分もしっかりと見当が合っており、ホログラムのコールド箔やPETの単体の貼り合わせをインラインで作業されており、これだけ複雑な工程が1パスで作業されている事自体にも驚きですが、更に印刷速度が分速30mと記載されており、驚きを隠せません。
ラベルとしては、ホログラムのコールド箔できらびやかで目を引くデザインとなっており、更に、畳風のデザインと細かなハーフカットにより立体感のあるデザインとなっています。
このような加工は余り見たことがない表現でしたので、独自性のある素晴らしいアイデアだと思います。
様々な工夫が凝らされた技術の結晶のような素晴らしいラベルです。
経済産業大臣官房商務・サービス審議官賞 作品406 C複合、ホットスタンプ及びエンボス
清酒ラベルで、2工程で印刷されています。
1工程目が、消銀ネーマーに薄白・白・Y・M・C・K・K・リオトーン計8色をオフセット印刷
2工程目が、箔押しとエンボスと抜きになっています。
一見するとモノトーン調のシンプルなデザインですが、白の2回印刷でしっかりと隠蔽性を持たせ、モノクロのグラデーションをCMYKの4色で印刷することで、墨単色のグラデーションとは違う趣のある風合いに仕上がっています。
デザイン中央や両サイドの墨ベタ部分は墨を2度刷りで作業されており、しっかりと重厚感のあるベタ印刷になっており、グラデーション部分との重厚感の違いが目を引く表現になっています。
4色掛け合わせのグラデーション部分は、小さな白抜きの模様がありますが、見事な見当精度で印刷されています。
また、リオトーンによる擬似エンボス調の風合いや銀の箔押し、エンボス加工が施されることで、モノトーン調にも関わらず、全体的に立体感を感じられる素晴らしいラベルです。
経済産業大臣官房商務・サービス審議官賞 作品407 C複合、ホットスタンプ及びエンボス
クラフトビール用のラベルで、2工程で印刷されています。
1工程目が、ツヤ銀ホイルに、白・C・M・Y・Kの5色印刷
2工程目が、マットニス・ツヤニス・リオトーンの印刷に、エンボス加工と抜きになっています。
北海道の春をイメージした可愛らしいデザインに、複数のニスやリオトーンで、風合いに変化を持たせ、艶銀部分を印刷せずにエンボス加工で浮き上がらせることで、立体感もある素晴らしいラベルとなっています。
リオトーンの印刷も、他の作品とは違い、しっかりと膜厚を持たせて印刷されており、触ったときのザラザラ感も強く、風合いの変化に大きな効果を出されています。
エンボス加工の効果を狙って原紙のメーカー・品番の選定を行っていると思われますが、浮き出し部分がしっかりと表現されており、その効果は狙い通りなされているように思います。
全体的に、様々な表現が散りばめらた素晴らしいラベルです。
技術特許委員会 委員長 金光雅志



















